0歳から健康長寿を目指しましょう!!〜マイナス1歳からの歯医者さん〜

今回は、”0歳からの健康なお口の育て方”についてお伝えします。一生の健康は”0歳からのお口作り”が影響を与えることが知られています。平成30年4月より、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応、そして生活の質に配慮した歯科医療を推進する目的で、15歳未満の口腔機能の発達不全を認める小児に対し、評価し診断を行い、その小児の口腔機能の管理を保険で行うことができるようになりました。

現在、当院では矯正治療を受けなくてよい子供たちを、できる限り低年齢の時期から育てることを目指して取り組んでいます。その一つは、子どもさんの定期健診のキッズクラブ時に、顎の成長を確認するために歯列の長さを計測し、永久歯の歯並びの予測をしています。また、取り組みを定着させていきたいことが、妊娠期からの赤ちゃんの”お口の育て方”の啓発です。これは昨年”マイナス1歳からの歯医者さん”と題しセミナーを実施したところです。

ぜひご理解いただきたいことは、「子どものお口は勝手に育つものではなく、育てるもの」です。今回の内容を周囲の子育て中、これから子育てを行う方々にお伝えいただけますと幸いです。(小原美恵)

【現代の子どものお口・身体的な問題点】

  • 口腔機能発達不全;不正歯列、乳児嚥下が残る、お口ポカン(口呼吸)、いびき(アデノイド肥大)、鼻詰まり等
  • 体幹が弱い;背中ぐにゃ(背筋力が弱い)
  • 体が硬い;しゃがみ込みができない、前屈ができない
  • 言語発達の遅れ
  • 運動能力の低下
  • 転倒時の顔面の怪我の増加;体のバランスを崩しても、手で顔を守れない
  • 上記を見ると、子どもたちの生活を取り巻く環境の変化が大きく関わっているように感じます。以前は生活の中で培われていた全身の筋肉強化や柔軟性を高める行動が減り、それが子供たちの身体を自然と弱めてしまっている現状があります。

    実は、生まれてくる前の胎児の時点で健全な体作りをしづらい環境になっていることが知られています。

    【現在の母体を取り巻く環境】

    図は、朝日新聞2013年5月9日の記事で、妊婦後期の骨盤形態の変化が記されています。この半世紀で、妊婦の骨盤の形は安産型が減り、前後が長いスリムな細長型が増えていることが明らかとなりました。

    胎児は狭い子宮内で、屈曲姿勢で様々な運動の準備を進めています。体幹が安定し、頸部が 屈曲していることで、口唇を楽に強く閉じることができ、羊水を嚥下するようになります。胎児が豊富な運動を保障される丸い姿勢を取ることができる子宮環境を整えることが重要です。

    豊富な運動が保障豊富な運動が保障される子宮内環境されない子宮内環境

    しかしながら、この骨盤形成は母体である女性の学童期から思春期の身体活動の量が影響していると報告があります。経済成長や電子技術の著しい向上により身体活動の減少が、骨盤形態の決定に影響を及ぼしている可能性は否定できません。またこの報告のなかで、強度の身体活動より、=歩行などの軽度から中等度身体活動が、骨盤の横径の発育に影響を与える可能性があると示唆されています。

    上記のことを理解すると、妊娠前に骨盤の形を整えることも、健康な人生を送るための第一歩ということを考えさせられます。

    しかしながら、もう生まれてきた乳児をどう育てていくかが、これから私たちができることと考えます。人間は、他の動物より1年早産で産まれると言われており、残り1年を屈曲姿勢で過ごすイメージで乳児を育てることがポイントです。

    【だっこは第二の子宮】

    出生後、乳児との生活に慣れることで手一杯な時期ではありますが、この1年の姿勢がその後の心身、お口の成長に大変重要な要素となります。それは、「寝かせる姿勢」と「抱っこ姿勢」です。キーワードは「屈曲姿勢;まん丸」です。この姿勢は、乳児の姿勢のコントロール、自身の身体概念、情緒の安定の前提条件となります。

    ●寝かせる姿勢;乳児の背中に敷くマットは、真ん中が凹み、乳児の頸椎のカーブに沿いまん丸の姿勢で過ごさせます。安定した姿勢の確保は、情緒の安定、筋肉の安静、呼吸の安定につながり、口腔機能の発達も得られやすいと考 えられます。

    ●抱っこ姿勢;首が据わる前の乳児は、体をできるだけ水平にして、必ず首と頭を支えます。首が据わる前から立て抱きにすると、未熟な腹筋や背筋に力が入りすぎて体が緊張します。この緊張を続けていると、体に反りや硬さとなって現れます。また、母子がお互いまっすぐに視線を合わせることが、愛着形成の重要な一歩となります。

    【子どもの運動発達を見る】

    運動発達は、1頭から足の方向へ2身体の中心から抹消へ3全体から特殊へと順序があるとされています。

    上手に舌を動かせるようになるためには、関係ないように感じますが、体の大きな軸である体幹を使う運動がしっかりとでき、そして、頭部、頸部を支える(安定する)ことができ、下の顎を自由に動かすことができた上で、ようやく舌を巧みに動かすことができると言われています。つまり、体全体を使った運動が下位の運動であれば、舌の動かしは上位の運動と理解されています。

    ここでお伝えしたいことは、”乳児期の全身の運動発達の段階を飛ばさない”ことです。乳児にとって胎外は重力が6倍かかると言われています。自由に動ける体を獲得するために、仰向け姿勢→首がすわる→寝返り・ずりばい→はいはい→一人座り→つかまり立ち→立ち上がりといった順で、体幹を鍛えていきます。そして、口腔機能は全身の発達とリンクしながら発達していきます。新生児吸啜→なめる(舌の前後運動;探索し感覚認知が発達)→つぶす(舌の前後+上下運動;舌と上顎でつぶす)→舌での輸送:奥に運ぶ(舌の前後上下+左右運動)それと同時に、原始感覚から識別感覚へ置き換わっていきます。

    歯が生えていない間の時期に、全身を動かし、たくさんお口の経験をさせ、母子との愛着を形成することで、心身共に伸び伸び生き生きとした一生を過ごすことが可能になるといえます。

    【0歳から取り組める口の感覚を育てること】

    • お口のマッサージ
      →歯ブラシのブラシ部分でで舌をトントンとタッチする(ベロタッチ)
      →指や歯ブラシ等を使い頬の内側を広げたり、唇、歯肉に触れる
    • おもいっきり身体をくすぐる
    • 手づかみ食べ(指先で味わう)
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